加工デンプンの用途と安全性について

皆さんは「加工デンプン」についてご存知でしょうか。
食品表示を見てみると、「加工デンプン」という表示をよく見かけます。
この記事では、「加工デンプン」がどのような用途で使用されているのか、その安全性はどうなのかをまとめましたので、興味のある方は是非確認してみてください。
目次

加工デンプンとは

加工デンプンとは、デンプンに様々な加工を施したもので、食品添加物(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、乳化剤の用途)として取り扱われます。
また、加工デンプンは12種類ありますが、全て「加工デンプン」と表示することが食品表示法により認められています。
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加工デンプン12種類

  1. アセチル化アジピン酸架橋デンプン
  2. アセチル化酸化デンプン
  3. アセチル化リン酸架橋デンプン
  4. オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
  5. 酢酸デンプン
  6. 酸化デンプン
  7. デンプングリコール酸ナトリウム
  8. ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン
  9. ヒドロキシプロピルデンプン
  10. リン酸架橋デンプン
  11. リン酸化デンプン
  12. リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン
これら12種類全てを「加工デンプン」と表示することができます。

デンプンを加工する目的

デンプンは、ブドウ糖が何個も繋がったもので、トウモロコシ、米、小麦、豆類、ジャガイモ、タピオカなどが原料となっていますが、デンプンのままだとすぐにパサパサになってしまい、長期間、美味しさを保ったまま、保存することが出来ません。
そのため、デンプンを化学薬品により処理を行い、長期間、美味しさを保てるようにしたり、食べた時に美味しいと感じられるような効果を持たせます。

加工デンプンの分類と用途

①美味しさが劣化しにくいデンプン(耐老化デンプン)

先ほど紹介したように、デンプンは劣化が早く、冷蔵庫で数時間保管するだけですぐに劣化し、美味しさが失われます。

そのため、アルキル化やエーテル化などを行い、加工することで美味しさが劣化しにくいデンプンが作られています。

種類

酢酸デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン など

用途

冷蔵で流通保存されるチルドうどんや、わらび餅・団子などの菓子、総菜など幅広く利用されています。うどんのモチモチした食感を長続きさせたりします。

②粘度・弾力性が向上したデンプン(架橋デンプン)

ソースなどの食品は製造過程で加熱されることが多いですが、デンプンは加熱されると粘度(トロッとした性質)が失われやすくなります。

鎖状のデンプンを、分子間あるいは分子内で繋ぎ合わせることで粘度が保たれやすくなります。

また、その繋ぎ合わせる箇所を多くすると弾力性を持ちます。これにより、ソーセージやかまぼこなどのプリっとした食感が生まれます。

種類

リン酸架橋デンプン、アジピン酸架橋デンプン など

用途

カスタードクリームやフルーツジャム、中華料理のとろみ餡やみたらし団子のたれなどの増粘剤(粘度を安定化させる)として使用されたり、かまぼこやソーセージの食感をプリッとさせるのに使用されます。

③水気の抜けがいいデンプン(酸化デンプン)

デンプンは、水を加えて加熱することで糊(のり)のような状態になります。

そのためデンプンはベトベトしており、水気が抜けにくいため、フライの衣にしようするとベタベタとした食感になってしまいます。

そこで、デンプンを酸化することで水気の抜けをよくすることにより、サクッとした食感が生まれます。

種類

酸化デンプン

用途

フライの衣の材料として用いられます。
水気が抜けやすいため、食感をサクサクさせます。

④水を加えただけで糊(のり)のようにベトベトになるデンプン(アルファ化デンプン)

デンプンは通常、水を加えて加熱することで糊のような状態となりますが、アルファ化することで加熱を要せず糊のような状態となるため、加熱工程がない或いは、加熱工程が短い食品の食感を整えることに利用することができます。

種類

アセチル化架橋デンプンや、ヒドロキシプロピル化架橋デンプンなどの、加工デンプンをアルファ加工した加工デンプン

用途

パンやホットケーキの材料に混ぜて、焼き上げたときにふっくらさせたり、モチモチ感を持続させたりします。

加工デンプンの安全性

加工デンプンは、デンプンを化学薬品で処理するため、使用する化学薬品が本当に安全か気になるところです。
食品添加物である加工デンプンを製造するための材料は、食品か食品添加物しか使えません。
そのため、安全性は担保されています。
しかし、ヒドロキシプロピルデンプン・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンを製造するときに使用するプロピレンオキシドやその副産物については、安全性情報が不足しており、発がん性があるとの報告もあります。
これらは冷凍食品に使用されることが多いですが、欧州では乳幼児向けの食品への使用は適切でないとされています。
我が国では、内閣府食品安全委員会において、日本における推定摂取量に基づく発がんの生涯リスクを導いたところ、一般に遺伝毒性発がん物質の無視しうるレベルとされる100万分の1レベルを下回っていること等から、そのリスクは極めて低いとの見解が示されています。
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 参考情報 各加工デンプンの製造方法

参考情報として、各加工デンプンの製造方法を掲載しておきます(食品添加物公定書より)。

アセチル化アジピン酸架橋デンプン

デンプンを無水酢酸及び無水アジピン酸でエステル化して得られたもの

アセチル化酸化デンプン

デンプンを次亜塩素酸ナトリウムで処理した後、無水酢酸でエステル化して得られたもの

アセチル化リン酸架橋デンプン

デンプンをトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リン及び無水酢酸又は酢酸ビニルでエステル化して得られたもの

オクテニルコハク酸デンプンナトリウム

デンプンをオクテニルコハク酸無水物でエステル化して得られたもの

酢酸デンプン

デンプンを無水酢酸又は酢酸ビニルでエステル化して得られたもの

酸化デンプン

デンプンを次亜塩素酸ナトリウムで処理して得られたもの

ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン

デンプンをトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化し、酸化プロピレンでエーテル化して得られたもの

ヒドロキシプロピルデンプン

デンプンを酸化プロピレンでエーテル化して得られたもの

リン酸架橋デンプン

デンプンをトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化して得られたもの

リン酸化デンプン

デンプンをオルトリン酸、そのカリウム塩若しくはナトリウム塩又はトリポリリン酸ナトリウムでエステル化して得られたもの

リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン

デンプンをオルトリン酸、そのカリウム塩若しくはナトリウム塩又はトリポリリン酸ナトリウムでエステル化し、トリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化して得られたもの
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