
食品表示が免除されるのはどんなとき?
たまに食品表示がされていない食品を見かけるけど、法律違反じゃないの?



食品表示は基本的に必要だけど、免除される場合があるんだよね。
その場合は表示がなくても食品表示法違反にはならないよ!
この記事で解説していくね!
この記事は、保健所の食品衛生監視員として働いた後、食品工場の品質管理部で働いている薬剤師が、食品の免除規定について解説します。
食品表示が必要なものとは
食品表示のルールを決めている食品表示基準(食品表示法第4条に基づく)に次のように記載されています。
食品関連事業者が容器包装に入れられた加工食品を販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く。)には、~中略~ 定める表示の方法に従い表示されなければならない。
食品表示基準より
つまり、容器包装に入れられた食品を販売するときは、表示する必要があります。



包装されていない食品は表示が免除されるってこと?



そうだね。
それだけではなくて、ただし書きにあるとおり、設備を設けて飲食させる場合も表示は免除されます。
こちらについては、後で具体例を挙げて解説します。
食品表示はなぜ必要?
食品表示は、食品の安全性の確保と、消費者による自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保において非常に重要な役割を果たしています。
食品表示は、これらの重要な役割を担っているため、法律により規制されています。



食品表示法の第1条に目的が記載されているんだけど、そこにも食品表示の役割が記載されているよ
この法律は、食品に関する表示が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割を果たしていることに鑑み、販売の用に供する食品に関する表示について、基準の策定その他の必要な事項を定めることにより、その適正を確保し、もって一般消費者の利益の増進を図るとともに、食品衛生法、健康増進法による措置と相まって、国民の健康の保護及び増進並びに食品の生産及び流通の円滑化並びに消費者の需要に即した食品の生産の振興に寄与することを目的とする。
食品表示法第1条より抜粋
食品表示が免除されるとき
包装されている食品には基本的に表示が必要ですが、一部例外が認められています。



食品表示ってすごい重要なんだね!
表示が免除されるときはどんな時だろう?
①客席を設けて、客に飲食させるとき
飲食店で出てくる食品は、お皿に盛りつけられていることが多いですが、その場合は容器包装に入れられていないので当然表示は不要です。
しかし、容器に入れられていたとしても、客席を設けてその場で飲食させる場合には、食品表示は不要です。
理由は、その場で店の人に、食べようとしている食品について、必要な情報を聞くことができるからです。
これには、飲食店で提供されているものを、容器包装に入れて自宅に届けてもらう、出前も含まれます。



食品表示Q&A(総則ー4)に記載されているよ



出前に表示がいらないのはここが根拠だね!
飲食店とかで包装されて出てきた食品に表示がなく、知りたい情報があったらお店の人に直接聞こう!
②食品を『販売』しないとき(販売するに該当しないとき)
販売しない食品は食品表示が不要です。
『販売しない』とは、特定かつ少数の人に対して無償で提供する場合をいいます。



食品表示Q&A(総則ー2)に記載されているよ
一方で、無償で不特定多数の者に譲渡する場合は、『販売する』に該当するので食品表示が必要です。



街頭キャンペーンとかで、たくさんの人に食品の試供品を提供する場合は、食品表示が必要なんだね
③客の求めに応じて、食品を詰め合わせた外箱
消費者の求めに応じて、食品を詰め合わせた外箱、つまり化粧箱には表示が不要です。
これは、消費者自身によって食品を選択しているためです。
しかし、最初から食品が詰め合わせされている場合は外箱にも表示が必要です。



食品表示Q&A(総則ー7)に記載されているよ
④客の求めに応じて、お弁当やお惣菜を容器包装に詰めて販売する場合
消費者の求めに応じて、その場でお弁当やお惣菜を容器包装に詰めて販売する場合は、食品表示が不要です。



具体例を挙げると、ほか弁などの注文に応じて用意するお弁当屋さん、商店街のお惣菜屋さんなどが挙げられるよ



食品表示Q&A(加工ー4)に記載されているよ
⑤食品を製造した場所で販売する場合
食品を製造した場所で販売する場合は、食品表示が不要です。
これは、①と理由が似ており、その場でお店の人に必要な情報を確認することができるからです。
具体例としては、商店街のお菓子屋さんや、パン屋さん、スーパーのバックヤードで製造したものをそのスーパーで販売する場合などが挙げられます。



パン屋さんで売られているパンに表示がないのはコレが根拠だね!
まとめ
この記事では、食品表示が免除される場合についてまとめました。
- 客席を設けて、客に飲食させるとき
- 食品を『販売』しないとき(販売するに該当しないとき)
- 客の求めに応じて、食品を詰め合わせた外箱
- 客の求めに応じて、お弁当やお惣菜を容器包装に詰めて販売する場合
- 食品を製造した場所で販売する場合
食品に表示がない場合でも、上記のような場合では食品表示法違反ではありません。
しかし、アレルギーなど必要な情報がある場合は、必ずお店の人に確認を行いましょう!
コメント