
どうして冷凍食品は賞味期限が長いんだろう。保存料が使用されているのかなあ。



冷凍食品は賞味期限が長くて長期期間保存できるため非常に便利ですよね。



冷凍食品の賞味期限が長い理由について紹介します。
この記事は、保健所の食品衛生監視員として働いた後、食品工場の品質管理部で働いている薬剤師が解説します。
冷凍食品の賞味期限が長い理由
それは、冷凍で保存するからです。
冷凍で保存することで細菌が増殖しないため、食品が腐敗しません。
つまり、マイナス18度以下で保存すれば、冷凍食品は腐ることはありません。
保存料使用の必要なし!
冷凍食品は冷凍することで菌の増殖を防ぐことができるため、保存料は不要です。
なお、代表的な保存料として、ソルビン酸や安息香酸がありますが、冷凍食品への使用は認められていません。
腐ることがないのにどうして賞味期限があるの?
主な理由が3つあります。
①家庭用冷凍庫で保管されることを考慮
一つ目は家庭用冷凍庫で保管されることを考慮するからです。
家庭用冷蔵庫は、マイナス30度などといった低温まで下げることができず、物の取り出しに頻繁に扉を開け閉めするため、庫内温度がマイナス18度よりも高く上昇しやすい環境にあります。
庫内温度が上がってしまうと細菌が少しずつですが増殖してしまいます。
これにより腐敗が少しずつ進んでしまいます。
②再結晶
扉の開閉で庫内温度が上がってしまうと、食品中の水分が溶けてしまうことがあります。
再び庫内温度が下がると、この水分は再び凍りますが、その際に食品の品質の低下を引き起こしてしまいます。
これにより、食品の美味しさが失われてしまいます。
③色の変化
冷凍状態でも、食品はゆっくりと酸化していきます。
酸化とは、物質が酸素と反応して変質することをいいます。
冷凍していても食品は空気中の酸素と触れていますので酸化が起こってしまいます。
食品が酸化してしまうと、色の変化などが起きてしまい美味しさがうしなわれてしまいます。
以上3つの理由により、腐敗の恐れや美味しさが失われることがあるため、賞味期限が設けられています。
賞味期限の長さはどれくらい?
冷凍食品の場合、食品の種類にもよりますが1年程度の賞味期限が設定されているものが多いです。
これは業界団体の指針や、国際的な指標をもとにしています。
冷凍するから安全ではない!
冷凍状態では細菌は増殖しません。
しかし、増えないだけで、加熱のように殺菌することはできません(正確には菌によっては少しだけ減少します)。
そのため、冷凍する前に食中毒菌に大量に汚染されていると、食中毒を起こす危険性があります。
そのため、冷凍食品は衛生的に製造することが非常に大切です。
ご家庭で食品を冷凍で保管される際は、衛生的に取り扱ってください。
最後に
冷凍食品は、冷凍状態を保つことで長い賞味期限が設定されています。
保存料などが使用されることはほとんどありません。
使用されても天然由来のものです。
近年ではさまざまな食品が冷凍食品として商品化されていますので、是非購入してみてください。
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