
食品の表示を見てると『ソルビン酸』ってよく見るよね!どんな目的で使用されてるんだろう(・ω・)?



『ソルビン酸』は保存料として食品に添加されています!簡単に言うと、細菌を増殖しにくくしているんだよ!



加えるだけで細菌が増えにくくなるなんて『ソルビン酸』ってすごいね!どんな作用があるんだろ?安全性は大丈夫かな?



それじゃあ、この記事で『ソルビン酸』について簡単にまとめるから読んでみてね!
この記事は、保健所で食品衛生監視員として働いた後、食品工場の品質管理部で働いている薬剤師が、ソルビン酸の特徴と安全性についてまとめました。
ソルビン酸とは
ソルビン酸は、食品添加物の一つで『保存料』として食品に添加されます。
自然界では、ナナカマド(バラ科の植物)の未成熟果実中に含まれており、昔から長い間、食品の保存に使用されてきました。


ソルビン酸の性状
無色の針状結晶又は白色の結晶性の粉末であり、においがないか、又はわずかに特異なにおいがある。
食品添加物公定書より



ソルビン酸は粉末で、臭いもほとんどないんだね!
ソルビン酸の原材料と製造方法
ソルビン酸は、ナナカマドの成分として発見されましたが、現在は、化学的に合成されています。
『クロトンアルデヒド』と、『ケトン』を反応させ、生成したポリエステルを塩酸で分解することでソルビン酸を精製します。



ここでは、長くなるのでそれぞれの原材料の解説や化学反応式については省略します。
興味のある方は調べてみてください!
ソルビン酸の作用機序



ソルビン酸については何となくわかったよ!じゃあどうやって細菌の増殖を抑えるの?
まず、ソルビン酸が、細菌の細胞内に入り込みます。
そして、細菌の細胞内に入り込んだソルビン酸は、細菌の増殖機構(増殖するために必要な酵素の生成)を阻害(ブロック)することで、増殖を抑えます。



【もっと詳しく!】ソルビン酸などの物質は、分子型とイオン型の状態があります。
細菌の細胞内に入り込めるのは分子型です。
ソルビン酸は、酸性条件下で分子型としての存在量が多くなるので、食品が酸性よりの方が、細菌の増殖抑制効果が強くなります。
ソルビン酸の使用基準



ソルビン酸って便利なんだね!どんな食品にも使えるのかな?



いえ、ソルビン酸は使える食品が決まっていて、使える量も決まっています。
ソルビン酸が使用出来る食品と使用量
ソルビン酸が使用できる食品と使用料は次の表のとおりです。ちなみに、次の表にない食品には使用することができません。
使用できる食品 | 使用できる量 |
---|---|
チーズ | 3.0g/kg |
うに 魚肉練り製品 鯨肉・食肉製品 | 2.0g/kg |
いか・たこくん製品 | 1.5g/kg |
あん類 かす漬・こうじ漬・塩漬・醤油漬・味噌漬の漬物 キャンデッドチェリー 魚介乾製品 ジャム シロップ たくあん漬 | 1.0g/kg |
佃煮 ニョッキ フラワーペースト類 マーガリン 味噌 | 1.0g/kg |
ケチャップ 酢漬の漬物 スープ たれ つゆ 干しすもも | 0.5g/kg |
甘酒(3倍以上に希釈するもの) 発酵乳(乳酸菌飲料の原料にするもの) | 0.3g/kg |
果実酒 雑酒 | 0.2g/kg |
乳酸菌飲料 | 0.05g/kg |



この表は、食品、添加物等の規格基準(厚生労働省告示370号から引用しまとめています(令和2年5月24日時点)。一部簡略化していますので、詳しく確認したい方は元の告示を確認してみてください。
ソルビン酸の安全性



ソルビン酸は、食品を日持ちさせるために有効な添加物なんだね!あと、安全性はどうなのかな?
結論からいうと、ソルビン酸の安全性に問題はありません。
急性・亜急性・慢性毒性試験に加え、変異原性試験、発がん性試験により安全性が確認されています。



いくら安全でも取り過ぎたら体に悪くない?


1日に摂取しても健康に影響がない量はどのくらい?
ソルビン酸の一日許容摂取量は約25mg/kg体重/日と決められています。
これは、体重50キロの人は、1日に1250mgのソルビン酸を摂取しても健康に影響はないということを表します。
例えば、ソーセージの場合、ソーセージにはソルビン酸の使用基準として2g/kg(ソーセージ1kgあたり2gのソルビン酸を使用できる。)が定められています。
そのため、1250mgのソルビン酸を、ソーセージで摂取しようと思えば、約600gのソーセージに相当します。
人が1日に食べるソーセージ量は、平均して10〜20g程度(子供でも5〜10g程度)ですので、普通の食生活を送っていれば、ソルビン酸の摂取によって健康への影響はほとんどないということが分かります。



使用できる食品が決まっているのはどうして?



食品添加物の使用基準(使用できる食品)は、基本的に添加物を食品に使用したい事業者が、『有効性』と『安全性』に関する資料を添えて、厚労省に申請し、許可をしてもらっています。
上の表にない食品は事業者からの申請がなく、安全性などが審査されていないから、今のところ使用はできないということです。
事業者からの申請がなくても、海外で広く使われている食品がある場合は、厚労省が外国と足並みを揃えるために、事業者からの申請がなくても審査したりもします。
海外でのソルビン酸の使用実態
海外でもソルビン酸の安全性は高く評価されており、広く使用されています。
まとめ
この記事では、ソルビン酸についてまとめました。
- ソルビン酸は保存料として使用される。
- 保存料の役割は、殺菌ではなくて菌の増殖抑制
- ソルビン酸を使用できる食品と量が決まっている。
- 安全性は問題なし!


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